地域の情報

愛媛県・災害廃棄物処理に係る実動訓練【参加報告】

平成30年7月豪雨の際にも課題になったのが、一度に大量かつ多様に発生する片付けごみ(災害廃棄物・災害ごみ)の処理について、発生してから初動対応体制を検討するのでは間に合わないことでした。そこで環境省では過去の教訓を生かすため、住民の片付けごみ集積所から搬出先となる仮置場が設置されていないと、生活環境悪化に直結する問題、仮置場設置に際し、十分なスペースが確保されなければ、分別作業を行うことができずに混廃化が進む問題。さらに搬入者(住民、ボランティア団体、収集運搬団体)から分別の協力を得
られなければ、混廃化が進む課題。仮置場からの搬出ルート(処理先)の確保が遅れると、仮置場のスペースを無くなり、混廃化が進むことを課題定義しています。
そこで愛媛県では県・市町職員、関係一部事務組合、弊社も所属するえひめ産業資源循環協会を中心に、大規模災害等の発生に備え、より実効性のある災害廃棄物処理体制を構築するため、県主催で標記実動訓練を開催しました。

より現実的な訓練を目指して

参加者をABCDの4班に分け、それぞれ災害廃棄物を受け入れる側と持ち込む側に分かれて午前と午後を通して訓練を実施しました。訓練に使用する災害ごみは段ボールで仮に作成したものと、自転車、タンスなど災害時に多く出てきそうなものは本物を使用して訓練を実施。各自が用意した軽トラや乗用車に積み込み会場で受入れ持込みを行います。

受け入れ側の準備ですが、事前に図上訓練を実施してレイアウトを作成(平時の備え)し、短時間でカラーコーンや石灰でラインを引いて仮置き場をつくります。役割分担も総括責任者、チームリーダー、受付などに分かれて運営側が用意したシナリオに沿って作業を進めます。

書き手の私は分別指導員の役割を担いました。業務内容は様々な車両で運ばれてくる災害ごみを、しかるべき場所に持ち込んでこられた方においていただく案内する役回りです。用意したシナリオの中で「仮置き場出口に勝手に災害ごみを置いて帰ってしまった方がいた」「仮置き場で煙があがってきた」「受け入れられない災害ごみを持ち込もうとしてきたかたがいた」など現場力が試される隠れたシナリオもあり、より現実的な訓練を実施できました。

平時からできることと強い地域に向けて

実施訓練の後には班ごとに分かれて、実際に持ち込んでみた仮置き場についての感想や現場職員の対応について意見交換を実施し、より出向元の地域でも活かすことができる仮置き場づくりや日頃の備えについて協議しました。

これから地方では空き家も増えてきます。そうなると被災した空き家からの災害ごみを平時からいかに減らしておけるかも課題になってきます。アイディアとしては日頃より空き家の清掃を実施することや、住民に対する呼びかけ、一斉清掃の充実などの意見もあがりました。また、仮置き場設置場所を選定するだけでなく、その区画の中でより詳細なレイアウトやゾーニングに向けた資材の準備が大切だと共有しました。他の班では仮置き場内で降ろし忘れを防止するために迂回路を設けてぐるぐる回ることができるようにしていました。おそらく過去に経験したことをよりよく引き継いでいくために実施したことなのだと思います。訓練を通じて、それぞれの地域が強くなったことを参加者としても報告させていただきます。ご安全に!